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2011年03月03日

Final Round ― BEST BOUTS HEROINES ―

武装神姫 OriginalRondo

BEST BOUTS HEROINES

Final Round ― BEST BOUTS HEROINES ―

READY FIGHT!!
Final Round ― BEST BOUTS HEROINES ―

「皆さんお待たせしましたっ!!」
神姫タワー中に響かん勢いで実況部が叫ぶ。
「誰もが待ち望み、両者もまた望んでいたこの一戦。かつて交わした約束 − 時は来たっ!!」
バッとバトルフィールド左手のエントリーリフトを指差す。
「熱く激しく格好よく、ストラーフタイプの鏡、その豪腕は悪夢に見るぞっ!!メアッ入ぅ場ぉっ!!」
エントリーリフトから降りながらメアが呟く。
「・・・なんか気恥ずかしいわね」
今度は右手のエントリーリフトを指差して。
「剣戟を総譜<スコア>に刻め、銃声奏でよオーケストラ、彼女はバトルの指揮者<コンダクター>、姫月華倶夜っ入ぅ場っ!!」
リフトが上がりきる前に呟く華倶夜。
「・・・頭おかしいんじゃないの?」
ガクッと膝から崩れ落ちる実況部。
「シクシク・・・負けるな俺、がんばれ俺・・・よしっ!!」
ガバッと立ち直り。
「このフィールドを一番熱く出来るのはどっちだっ!!ストラーフ頂上決戦、開幕っ!!」
フィールドに立つ二姫の表情が変わる。

B.B.H. Final Rd. 開戦

張り詰めたような、耳の痛くなるような ― 静寂。
オーディエンスは、ファーストインパクト ― その瞬間を。
戦場に立つ両者は、互いの先手を ― 極限の集中で。
機械的音声が、開幕を告げる。

Ready
Fight

華倶夜がリアチーグルに装備されたサーペントをメアの顔面目掛け乱れ撃つ。
ドウンッドウンッドウンッドウンッドウンッ
「そんなものぉっ!!」
体勢を低くしながら弾幕を突き抜け現れるメア。が、そこに華倶夜は居ない。
「リープ・フロッグでメアを飛び越えたぁっ?!」
実況部の声が響く。リープ・フロッグ ― プロレスの試合で見かける、自分に向かってくる相手を開脚ジャンプで飛び越えるムーブである。
「ちぃっ」
舌打ちしながら振り返るメアの声を背後に聞きながら、斜め回転のオーバーヘッドキックを放つ。

B.B.H. Final Rd. ファーストインパクト

ブォンッ

それは不吉な音を残し、空を切る。
「なっ」
まさか避けられるとは、思わず声を漏らす華倶夜。メアは振り向いた瞬間、咄嗟に上体を仰け反らせかわしたのだ。外したと気が付いた華倶夜は、回転に捻りを加え向き合うように着地する。
その間に華倶夜を視界に捕らえたメアも、右腕のチーグルで豪快なアッパーを撃つ。
タンッ
軽やかに飛び上がり、その魔爪に飛び乗り勢いを利用して大きき跳び退る。

大きく間合いが取られ、攻防にも一呼吸間が置かれる。
「「「・・・お、おぉぉぉ・・・」」」
先の緋榴虎戦と比べれば密度に劣るが、その一撃の持つ緊張感に勝る一呼吸の攻防。自然と手に汗が滲み、息を呑んだオーディエンスは歓声ではなく感嘆を漏らす。
「へぇ」
「ふぅん」
零れる挑戦的な笑顔、どちらからともなく間合いを詰め相対するクロスレンジ ― 殴り合える距離。その距離の持つ意味と緊張感に、再び静寂が訪れる。

B.B.H. Final Rd. 駆け引き

ブォンッ
ガギィンッ

ノーモーションで繰り出されたメアのリアチーグルを、リアチーグルで受け流す華倶夜。
「コレさ、私達のバトルには要らないと思わない?」
バギィ
言って華倶夜のサーペントを引き剥がし、破壊する。
「なっ・・・アンタァァァッッッ!!」
グリムリーパーで顎をかち上げ、今サーペントを引き千切られたチーグルで殴りつけ、右ハイキック、左後ろ回し蹴り、頭を捕らえてボディへの左膝蹴り。

B.B.H. Final Rd. 激情の膝蹴り


ガシィッ
「こっちも・・・要らないでしょっ!!」
猛攻の中、右リアチーグルのサーペントを掴み、こちらも引き千切る。そのまま右リアチーグルで、華倶夜の左リアチーグルの肩に当たるユニットを捕らえる。
「貴女のバトル映像を見ながらいつも思ってたけど、激しさの中必ずどこかに冷静に戦況を読んでる貴女が居た・・・だからっ!!」
叫びながら、大きく背を反らし”頭”を振り下ろす。

B.B.H. Final Rd. 挑発のヘッドバット

ゴズッ

「ヘッドバットォォォッッッ!!」
思わぬ重く鈍い一撃に、実況部が叫ぶ。
「あっ・・・がっ・・・」
リアユニットを捕らえられ、回避する事もダメージを逃がす事も出来なかった華倶夜は、衝撃に膝から力が抜け崩れかかる。
「その冷静な仮面を剥いで、感情むき出しの」
スパーンッ
「口上っ・・・垂れてんじゃないわよっ!!」
メアを黙らせたのは、力抜け崩れかけた体の全稼動域を最大加速させた右のアッパー掌底。
「いつだってアタシはっ!!」
まともに喰らい、後方に体が揺れ無防備なメア。その左膝を踏み台にして、左膝をメアの顎に叩き込む。
「シャァッイニングッ・ウィザァードォォォッッッ!!」
しかも真正面から顎をかち上げる、危険で威力の高い初期型。
止まらない華倶夜は打ち抜いた左脚でメアの右肩を土台に駆け上り、右脚を振り上げ高角度の踵落としを見舞う。

B.B.H. Final Rd. シャイニング・ウィザード

バシィィィッッッ

そのままメアの右リアチーグルに右リアチーグルで、左リアチーグルに右脚で絡み付き、回転を加え後頭部から叩き落す。

B.B.H. Final Rd. 逆打ち

ダァァァンッッッ

「さ、逆打ちぃっ?!高速回転十字固めぇっ!!」
真っ逆さまに叩きつけられたメアから体を離し、立ち上がる華倶夜。華倶夜が離れた事で、体を支えていたものが無くなり仰向けに倒れるメア。
「全身全霊を懸けた本気だって言ってるでしょ」
「・・・フッ!!」
不意にネックスプリングで立ち上がるメア。
「でも・・・今の貴女の方が魅力的だったわ。悪魔型だもの、激情を隠すものじゃないわ・・・ねぇ?」
「悪魔型とかどうでも良いわ・・・アタシはアタシだもの」
「たから、貴女の感情が見たいっ!!」
ブオンッ
不吉な音を響かせるチーグル、僅かに掠りながらも反撃する華倶夜。焔乃華戦でも見せた、アストライドボジションで振り回される魔爪の暴風。いなし、かわし、反撃するも間合いが近すぎてモーションの大きい蹴りは撃てない華倶夜。間隙を縫うように一撃一撃を確実に当てていく。だが、ここはメアの間合い。

「ハイスパートッ!!アンドッハードヒットォォォッッッ!!」
叫ぶ実況部。一緒に叫びそうになる万年睡眠不足だが、その表情を複雑に歪めていた。
「熱い・・・激しく見てる方を揺さぶるバトルだけど・・・こりゃぁ心臓に悪いぞ華倶夜・・・」

柔よく剛を制す ― その言葉の様にメアのパワーをテクニックでいなし、華倶夜が確実にダメージを与えているように見える。だが、メアのパワーは華倶夜がテクニックでつけた差をたった一撃 ― それも掠らせただけでさえ、ひっくり返してしまうのだ。
序盤、華倶夜の猛攻で付いた LP の差は既に失われ、互いに拮抗した闘いに変わっていた。
前髪を吹き散らすその魔爪は、ともすれば己の首ごと薙ぎ持っていかれそうな恐怖を伴う。

振り回される魔爪、その死角を突いて一撃。
メアには己の腕をすり抜けて攻撃が届いて見える、一撃。
恐怖心と魔爪の暴風を、焼き切れそうな集中力で間隙を縫い、針の穴を通すような精度で一撃一撃。

攻撃力も防御力も圧倒的に違う、その暴風の恐怖はオーディエンスさえ感じ取り息を呑み、手に汗を握る。
それでも”互角の闘い”がそこにあった。

そして ―。
「がぁっ!!」
メアの右チーグルが華倶夜の首を捕らえ持ち上げる。

B.B.H. Final Rd. ネックハンギングツリー

「はぁっはぁっはぁっ・・・た・・・のしいわよね?・・・華倶夜?」
「けほっ・・・一緒に・・・しないでくれる?戦闘中毒者<バトルジャンキー>さん・・・」
右手で華倶夜を捕らえ持ち上げたまま、と言う奇妙な光景のまま会話がされる。
「焔乃華とも違う、攻撃の起点が読めないんじゃない・・・私の攻撃をすり抜けて届く攻撃・・・」
「アンタが余所見・・・してんでしょ?・・・けほっ」
「よく言うわね・・・」
要塞型育成のツガルとの一戦から使い始め、綾音が焔乃華に用い苦戦させた、目線と意識を誘導しその死角から攻撃を”貫く”技術 ― 華倶夜の本当の”武器”。
「ホント、他の神姫とじゃこんなにワクワクなんてしない、こんなに楽しくならないわ・・・」
「・・・呆れた・・・他の神姫と比べながら闘ってたの?そりゃアタシの攻撃を見落とすわ・・・って言うかっ!!」
ブオンッ
右脚を大きく振り上げる華倶夜。
「チィッ」
華倶夜を捕らえた右腕を横に振り、蹴りの軌道をずらす。
「いつまでアタシをぶら下げてんのよっ!!」

B.B.H. Final Rd. 飛びつき腕ひしぎ逆十字

右脚を振り上げるよりもずっと勢いをつけて振り下ろし、同時に自分を支えるチーグルの手首を確りと捉えながら左脚を振り上げ、全身を跳ね上げ、チーグルに被さる様に巻き付く。
(腕がっ!!)
捻り上げられる腕に逆らわない様に前回り受身の要領で身を投げ出すメア。
右脚の振り下ろし、左脚の蹴り上げの勢いを利用し全身でメアの右腕を捻り上げる。
「変形のっ飛びつき腕ひしぎ逆十字ぃぃぃっっっ!!」
「違うっ!!」
実況部の声に万年睡眠不足の声が重なる。
捻り上げ伸びきったメアの肘に自らの膝をあてがい、そのまま背中から落下する華倶夜。
ゴギィッッッ
「アームッブリーカーァッ!!」
「がぁぁぁっっっ!!」
鈍い音に顔を歪め悲鳴を上げるメア。
「っのぉっ!!」
咄嗟に立ち上がり不用意に左のチーグルを打ち出す。
ガシッ
その左腕をグリムリーパーで捕らえ、肘を極める華倶夜。
「あぁぁぁっっっ!!」
「グリムリーパーで極めたまま逆一本背負いっ!!」
バシュゥッ
「なっ」
「えっ?」
響いたのは叩きつける音でなく、何かが外れる音。
「チーグルをパージして回避ぃぃぃっっっ?!」
「なっくっ」
状況を把握するより早く、奇妙な手応えにそのまま前方に転がり、さらにメアの追撃を警戒して大きく距離を取りながら向き直る。
(何?)
メアの表情を見た華倶夜は違和感を覚える。虚を付き、華倶夜の裏をかいた筈のメアの表情は寧ろ苦いものだった。
「・・・まぁいいわ・・・」
メアは、呻く様に無理矢理搾り出す様に呟いた。
「そろそろ・・・締め時でしょ。どうせなら、一番派手な奴で終わらせない?」
自分のリアユニットを親指で指す。その誘いに逡巡を見せるも、グリムリーパーを投げ捨てて応える華倶夜。
(怪しさ全開・・・と、判ってて受けてくれるあたり、流石華倶夜か・・・恩に着るわ・・・絶対口にしないけど)
互いに間合いを詰め、自然体に向き合う。
「これはっ、この状況でこの間合いはっ、一撃必倒の間合いっ!!」
実況部のその言葉を最後に、静まり返る。オーディエンスは理解しているのだ、決着の時が近い事を。

「デモニッシュ ―」

「デモニッシュ ―」

同時に唱えられる力ある言葉、その序段。
「クローッッッ!!」
ソレを先に解き放ったのは華倶夜。
(ここっ!!)

B.B.H. Final Rd. 秘技・空蝉

ゴッシャァァァッッッ

「なっ?!」
打撃音を響かせたのはメアの胸部装備、レイディアントアーマー。だがそこにメア自身は居ない。
「うっ空蝉っ?!」
気が付いた時には既に華倶夜のリアチーグルは、第二撃のモーションが始まっていた。
「貰ったぁぁぁっっっ!!」
華倶夜の第二撃はリバースモーション(左右逆)で放たれたメアの魔爪に打ち砕かれる、そして ―。
「とっどめぇぇぇっっっ!!」
迫る魔爪の追撃、脳裏に過ぎる直前の攻防、予想される未来 ― 敗北。
瞬間、華倶夜の視界から色が消え、聴覚から雑音が消える。
(アンタにっできてぇぇぇっっっ!!)
不要な情報を捨て先鋭化する思考、加速する単位時間当たりの処理能力、引き伸ばされる華倶夜の体感時間 ― アスリートならソレを”ゾーン”等と呼ぶだろう感覚。

B.B.H. Final Rd.  空蝉返し

ゴッシャァァァッッッ

メアの魔爪が撃ち貫き奏でる破壊音、しかしソレを奏でたのは華倶夜の体でなくリアパーツ。当の華倶夜はサバーカさえパージし、魔爪の軌道からその身を投げ出していた。 自分の真横を過ぎる ― 仮に一瞬遅ければ顔面を捉えていた ― 魔爪を潜り抜け、打ち抜くようなローリングソバットを放つ。
バシィィィッッッ
そのまま、大きく仰け反るメアの顔と向かい合う様に飛び乗り、全身を振り子の様に大きく振る。
「フラァンケンッシュタイナーァァァッッッ!!オン・ザ・リアチーグルゥゥゥッッッ!!」

B.B.H. Final Rd.  フランケンシュタイナー

ズドォォォンッッッ

「がぁっ!!」
自らの魔爪が打ち抜いたリアユニットの上に背中から叩きつけられるメア。その呻きを聞く間さえ惜しいと、遺跡を駆け上る華倶夜。遺跡を蹴って飛び上がり空中で後方 90°回転から 180°捻りと 270°回転を同時に行い膝を突き出し、急降下。
「フェニックス・ソードォォォッッッ!!」
巻き上がる土煙、その中を動く人影が二つ。無理矢理メアを引きずり起こす華倶夜、そして疾る蹴撃。
「右ハイッ!!左ローリングソバットォッ!!サマーソルトォッ!!左の膝ぁぁぁっっっ!!」
繰り出される、幾多の強敵を打ち倒してきたコンボ。
「ファルコォォォーンッ!!」
メアを抱え上げ、叩き落す。

B.B.H. Final Rd.  ファルコンアロー

「エッジィィィッッッ!!」
実況部の絶叫。

ブォンッ

静まらぬ土煙から飛び出す影。”投げ飛ばされた”その影は体勢を崩しながら着地し、呻く。
「・・・やっぱり・・・倒しきれなかったわね・・・」
「「「なぁっ?!」」」
それがユラリと立ち上がるメアに投げかけた言葉と、オーディエンスも気が付く。
「耐えたぁっ?!」
「ふっ・・・ぷっふふふっ・・・あぁ〜ぁやっぱり投げを喰らってでも見せるべきじゃなかったわね・・・あっさり真似されるとは」
楽しそうに言うメア。
「ねぇ?そっち、まだなんか残ってる?私は・・・コレ位かな?」
ドサッドサッとリアチーグル、サバーカをパージし残された右のチーグルを見て言う。
「正真正銘、最後の一撃・・・もう、施す小細工も残っちゃいないわ」
チーグルを華倶夜に向け、笑う。
「・・・」
じっと見つめ返す華倶夜は右拳で首を掻っ切る仕草、親指を下にむけ大きく振り下ろし応える。

B.B.H. Final Rd.  決着へ

「介錯、してあげるわ」
「上・等」
「「「おぉぉぉっっっ!!」」」
大歓声の中、残された僅かな力を振り絞り駆け出す二姫 ― そして、交錯する影。

ゴスッ
一瞬の打撃音、そして訪れる静寂。二姫は、共に砂漠に倒れ伏していた。

WIN

ただ静かに響く機会音声、その先を聞きたいが、聞きたくない。
妙に長く感じる間。
ゴクリ、誰かの喉が鳴った音が妙に大きく聞こえる。

姫月 華倶夜

「「「お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っっっ!!」」」
「何が起きたっ!!リプレイッ!!」
実況部の声に、スクリーンが映し出す”その瞬間”。

二姫が駆け寄り、繰り出されるチーグル。自身の勢いを殺さぬままソレを右手で引き落とし、大きく飛び上がる華倶夜。手をメアの頭に置き支点にし、体を捻りながら全身のバネをしならせる。

B.B.H. Final Rd.  CrescentPunishment-交錯-

ゴスッ

B.B.H. Final Rd.  CrescentPunishment-激突-

力を解き放ったバネが、メアの後頭部に華倶夜の膝を突き刺す。最早己の放った攻撃の衝撃を制御する力も残っていない華倶夜と、渾身の一撃を喰らったメアが同時に吹き飛ぶ。

「なん・・・と・・・あ、あの一瞬でっ!!・・・カ、カウンター式変形カーフ・ブランディングゥッ!!華倶夜が勝ったぁぁぁっっっ!!」
呆然と呟き、その自身の声で正気に戻った実況部が勝者を告げ直す。
「「「華・倶・夜っ!!華・倶・夜っ!!」」」
「「「メーアッ!!メーアッ!!」」」
二姫を称えるオーディエンスの声が、筐体を包む。その声に導かれるように華倶夜がノソリと起き上がり、フラリフラリとメアに近寄る。
「・・・生きてる?・・・」
「・・・自分でやっといて・・・ソレはないんじゃない?・・・」
楽しそうに笑うメアを確認し、その隣に仰向けに倒れこむ。
「・・・最後の何?・・・何されたか・・・全然判んないんだけど・・・」
「さぁ?咄嗟だったし・・・」
そこに響く実況部の声。
「勝者、姫月 華倶夜ぁっ!!フィニッシュムーブは・・・ク、クレッセントパニッシュメントォォォッッッ!!」
「・・・技名、そうなの?・・・」
「・・・さぁ?・・・まぁ・・・良いんじゃない?言わせとけば・・・」
「・・・そ?・・・」
「そうよ・・・はぁ〜ぁ・・・とりあえず・・・アンタとは・・・もう二度と闘いたくないわ・・・」
「嘘でしょ?」
「素体<カラダ>が幾つあっても足りないわ・・・見てよ・・・アタシのマスターが面白い顔しちゃってるじゃない・・・」
目を向ければ、そこには二つの感情が綯い交ぜになった万年睡眠不足が居た。
「良く見る顔よ、私も・・・そのうち、快感になるわ・・・見てくれてる、愛されてるって・・・」
「・・・性質が悪い愛情確認ね・・・」
「だって、私達・・・悪魔型じゃない・・・」
「・・・だから、アタシを一緒にしないでって」
「また闘りましょ?」
「嫌よ・・・と、言ったところで何となく”縁”がありそうで、ウンザリだわ」
「あるわ。絶対」
「冗談」
「「ぷっふふふっ」」
一頻り笑いあうと、どちらともなく立ち上がりゆっくりと帰るべき場所へ歩き始める、振り返る事も無く近い将来再び相対する予感を胸に。

「華倶夜っ!!」
「メアッ!!」
帰り着いた二姫のその後は”大変”の一言だった。
万年睡眠不足とメアのマスター ― オーナー名を”獏”と言うらしい ― は取る物も取りあえず、神姫タワーに備えらたメンテナンス受付窓口に駆け込んだ。こんなにも早い再開をするとは・・・考えてみれば当然か、等と笑いあう二姫を余所に大慌てで手続きが進められた。

「見ていたかい?イヴ」
「はい、マスター」
オフィシャルバトルフロアの上、5 階オフィシャルバトル喫茶ラウンジからその死闘を観戦していた人影。
「緋榴虎さんとは、闘った事がありますので知っていましたが、あの二姫」
「凄かったね」
「はい、クラスが違いますので機会がありませんでしたが」
「恐らく・・・いや、必ず相対する時が来るだろうね」
「はい。マスター、あの二姫と相対した時失礼の無いようにシミュレーションを」
「そうだね、彼女らの努力が積み上げた強さに失礼の無いように、こちらも人事を尽くそう」
そう言って踵を返し立ち去る人影 ― 天使型神姫を肩に乗せた青年。

後日 ―。
「どう?一兄」
「うん、問題ない。もう良いぞ、華倶夜」
「だから言ったでしょ?心配ないって」
「そうは言うがなぁ」
「はいはい、そこまで〜」
手を叩きながら一兄 ― 加藤 一臣がとめる。
「映像見せてもらったが、あんな激しいバトルされりゃ普通のオーナーは大概こんなリアクションさ・・・それより」
「ん?」
「何よ?」
急に表情を引き締める一臣に、聞き返す二人。
「最後のアノ技、今後使用禁止な」
「え?」
「何故?」
「危険過ぎるんだよ。神姫に限らず頚部は、重要な器官を繋ぐ構造的弱点だ。神姫の場合、人間で言う盆の窪 ― まぁ延髄だな、を下から突き上げる様に力を加えると・・・外れちまうんだよ、頭」
「なんですとっ?!」
「嘘っ?!」
「ホント。まぁ今回は後頭部を打ち抜いていたから大事には至らなかったけど、当たり所が悪ければね。勿論、相応の強度は持たせてあるけどね。リアルロンドの場合、其処に強い力が加わると安全策として、試合を強制終了する様になってるんだ」
「じゃぁ今回のアタシの勝ちは・・・」
「いや、純粋に華倶夜の勝ちだよ、LP 的にね」
「・・・そう・・・」
「まぁ俺がこんな事言っちゃ駄目かもだけど、実は華倶夜なら使っても良いかなとも思ってたりする」
「おいおい、言ってる事が・・・」
「今の華倶夜は、正直神姫としては異常な程に身体制御が精密だからね。精度が維持できてる状態なら、後頭部や背中を狙って使う分には OK だと思う」
「・・・控える事にするわ・・・正直、事が大きいわ」
肩を竦めて答える。
「だな。まぁあんな奥の手があるって印象だけでも武器にはなるし」
同意する万年睡眠不足。
「そうね、相手が勝手に警戒してくれるわね」
こうして、実況部命名”クレッセントパニッシュメント”は幻の秘技として封印される事となる。
「さてと、とりあえず華倶夜が無事って判ったから帰るわ」
「おう、気をつけてな」
「りょーかい」
いつものごとく、窓を開け出て行きながら答える。

「あ、そうだ」
屋根から塀を越え、再び屋根に上ったところで思い出した様に万年睡眠不足が華倶夜に話しかける。
「何?」
「あんま心臓に悪い闘いしないで欲しいという、オーナーの気持ちも察して欲しいぞ」
「・・・保障、しかねるわね・・・相手の居る話だし。それにアタシの No.1 ファンなら、其処にこそ一喜一憂しなさい」
「あのなぁ」
「ドキドキ、するでしょ?」
「・・・心拍数急上昇だよ」
「・・・メアの事、笑えないわねやっぱ・・・」
「何か言ったか?」
「いーえ」

BEST BOUTS HEROINES
― そう、彼女達は見る者を酷くドキドキさせる、紛れも無いヒロイン達だった。

- 完 -

                   

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posted by 万年睡眠不足 at 06:42 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 武装神姫 OriginalRondo B.B.H.
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